根管治療とは?
根管治療とは、神経や血管がある歯髄に虫歯が達した場合に行う虫歯治療のことです。成功すれば、抜歯を防げる可能性があります。
虫歯が神経を汚染すると激しい痛みが生じるため、この段階で歯科医院に駆け込む方が少なくありません。
根管治療では、根管の歯の神経を取り除き、根管の洗浄・除菌をしてから薬剤を詰めて被せものをします。神経の除去や根管の切削が必要なため、歯科医師には高い技術が求められます。
根管治療の流れ
1歯の神経の除去
根管治療では、歯の神経を取り除く「抜髄(ばつずい)」を行います。局所麻酔をしてから歯を削る機械で虫歯の部分を取り除き、神経に被さっている硬い歯質を削ります。
次に、ファイルと呼ばれる針のような器具で神経を取り除きます。そして、神経を取り除いたことで生じた空洞に薬を詰めて仮蓋をして、時間を置いてから根管を消毒します。 麻酔をするため、強い痛みを感じることはありません。
ただし、歯髄炎(しずいえん)が起きている状態では麻酔が効きにくいため、強い痛みを伴う可能性があります。
2根管を拡大
神経を取り除いて空洞になった根管は、細かく分岐しています。根管は狭くて暗いため、拡大して見るには高い技術が求められます。
また、治療中の出血が止まらなかったり噛むと痛みが生じたりする場合は、根管の拡大に数日を要する可能性があります。
2根管の充填
根管に薬剤を充填して、根管内に細菌が侵入するのを防ぎます。
使用する根充材が根管の形状に適していないと、すき間から細菌が侵入してむし歯が再発する恐れがあります。
当院の根管治療の特徴
マイクロスコープを使用した、精密根管治療
当院では、根管治療のときにマイクロスコープで根管内を詳細に観察しております。
根管の見落としは、薬の充填に支障をきたすため、むし歯の再発リスクを高めます。
マイクロスコープで根管を詳細に観察できるようになったことで、根管治療の精度が飛躍的に向上しました。
また、根管治療のときは細かい器具が折れて歯の中に残る場合があります。
器具の除去は不可能なため、治療を中止せざるを得なくなります。
しかし、マイクロスコープを使うことで、折れた器具に超音波振動を与えるなどして除去できるため、再治療の道が開けるようになりました。
マイクロスコープは、根管治療の成功になくてはならない機器です。
アメリカでは、根管治療専門の歯科医師の教育に、マイクロスコープの使用を必須としています。
治療後にズキズキと痛む場合
根管治療の後は、歯の痛みや違和感が生じる場合がありますが、通常1週間ほどで消失します。
しかし、強い痛みが長く続いたり歯茎が腫れたりする場合があります。
特に、根管治療が長引いた場合には、細菌が侵入するリスクが高まるため、このような症状が現れやすくなります。
根管治療後に強い痛みが起きた場合は、主治医に相談してください。抗生物質や鎮静剤の内服で改善が期待できますが、洗浄と除菌を目的に再治療を行う場合もあります。
根管治療の回数と期間
根管治療には複数のステップがあるため、中長期的に治療を行うことになります。症例や虫歯の位置、治療の進捗に応じて異なりますが、多い場合は5~6回の通院が必要です。
また、根管治療が必要な状態では、歯が大きく欠損しています。そのため、欠損部を補うための詰めもの・被せもの治療も行います。クラウンという被せもの、インレーという詰めものをする場合は、追加で3回ほどの通院が必要です。
つまり、1本あたり8回前後もの通院が必要になり、1週間に1回通院する場合は、治療完了までに2ヶ月もかかります。このように、根管治療は患者さまへの負担が大きい治療ですので、むし歯の早期発見・早期治療に努めることをおすすめします。